(2003) GIZA STUDIO所属、Ganet crowの2002~2003年のマテリアルが結晶化された3枚目の作品。 ソフトでイージーな序曲、「今日の君と明日を待つ」から始まり続く二曲目、澄み切った水面をたゆたう 木の葉を想起させるリードトラック「君という光」が速やかに耳から体の内に浸透する。 その後の平穏を破る、ハイなアップビートで小気味の良い抜けたような開放感が待つ「スパイラル」が さんざめく反面、不思議なそわそわに似た耳元にささやかれるようなくすぐったさと、清潔な瑞々しさを流す「クリスタル・ゲージ」が体中のもやもやを全部洗い流す。 ドリーミーな「Marionette Fantasia」、後半は一転してデジタルでスリリングな雲行きのイントロ、ややハードな「Endless Desire」、「逃れの町」、ネガティブな題材の歌詞「Only Stay」で締め、 繊細なポップ感は相変わらずだが、ノスタルジックな感傷は前二作より控えめの印象を感じる。全十曲でコンパクトだが、物足りなさは感じない。 Best track:クリスタル・ゲージ [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=XLJ1fzIbuX8[/youtube]
(2001) aikoの三枚目のアルバム。 彼女を彼女たらしめているのはそののびやかな明るさと純真、素直さというパーソナリティであろう。 容貌よりも内から発するとびっきりの天真爛漫さを外に注げば何者にも負けない無敵のかわいいさを生み出せることを彼女は世界に示してみせた。 その魅力を熟れ余し、芳しいまでの芳香を放つような、やや微熱を帯びた気だるげで甘い歌い方は 今恋をしている10代の少女達だけではなく、かつて恋を経験した大人達も引き寄せる引力を持っている。 こういったバラードを発表した当時だけ作用するのではなく、加齢を重ねればこそ様になってくるように創造したのは彼女最大の発明であり、時間をかけてずっと味わっていける賞味期間の永いアンセムだ。 島田昌典の程よい加減のやり過ぎないジャジーなアレンジもまた温度に拍車をかける。 初夏から秋の始まりにかけて、また着込むまでの衣替えがやってくるその時期まで、風邪にうなされたようなぼーっとした気分にまた罹ってみたい、そんな記憶を紡ぐためにこの「夏服」を卸してみましょう。 Best tracks:ロージー、紙飛行機、密かなさよならの仕方、初恋、終わらない日々 [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=H-3Igr7Yx-A[/youtube]
The Platinum Collection その衣装と魅力で日本のロリータにも間接的に深い影響を与えたと言うイングランドのユニット。 80年代に結成し、その後わずか数年で解散。 ポップでキッチュなアイドルらしさが目を引きますが、フリフリの水玉の服やミニスカート、可憐で幼い声は日本のロリータにも勝るにも劣らない愛らしさがあり、とてつもなくキュートです。 音楽性も同様にポップでキャッチーな陽性があり、暗さはないですが、アンニュイなはかなさが漂うのがたまりません。 彼女らの詳細については他に当時を知っている方々の詳しいサイトが多くあるため、あまり多く語りませんが 是非改めて周知してほしいユニットです。 今見るとレトロですが、現代の感覚だとこの程度のアバンギャルドさは抵抗なく受け入れられるのでは。 ストロベリーなだけに甘酸っぱい。 現代イングランドでこういうミュージシャンはいるのかな。 [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=x7QPBzAJ_io[/youtube]