(2006) このアルバムに一貫して身体の深奥を揺さぶるのは感傷で充満した衝動とアグレッシヴな怨憎に有り余る慟哭である。 鋭利な匕首で乱暴にえぐるような刃傷による叫びと、雑に落っことしていったペシミスティックな過去への憐憫達が後を追うようにして、マグマのごとく噴出する。 胸に詰まるような怒りとも泣きとも見分けがつかぬ、あるいはそのすべてが入り混ざった感情が零れるようにボロボロと荒ぶるソリッドなリフが流れ出し、Reroute to Remainから大々的にモダンな変化をした経過から今作で完成形として到達した、第二部オルタナティブメタル期の、彼らのディスコグラフィーでも最も大胆で野心に満ちた作品である。 全編にわたり穿たれる突き刺さるような豪雨のようなリフの中でも力強い鼓動を魅せる「Take This Life」、「Dead End」のLisa Miskovskyによる美しき歌唱とIn Flamesのエッジィなリフのコラボレーションもまた嘆きのメロディと悲劇的で冷酷無比なコントラストを彩っている。 強靭な音の嵐の間に配置されたバラードの「Come Clarity」は、アルバムに共通した鎮痛な重々しさはあれど、むせ返るような攻撃力はない。あふれ切りそうな棄民感と悲愴をカップいっぱいに湛えていて今にも呻きが染み出しそうな重要な曲だ。 このアルバムでIn Flamesはオルタナティヴメタルへの進化を決定的に位置付けたといえ、新生In Flamesとして新しい趣にいささか不得手を示す古参な保守派もそのでき映えに驚愕したのではないだろうか。 ザクザクとしたスラッシュメタルを好む御仁にも刺さり、全盛期のメンバーが揃った時期のメロディックデスメタルとオルタナティブメタルを体験する皮切りになるドラスティックな一枚。 また、ジャケットも自身は当バンドのアートワークの中ではクールでシンプルで一番お気に入りである。 Best track:Take This Life、Dead End、Come Clarity
(1998) 無音のトラックが大量に流れたのち、重低音に腰を据えたイントロから始まり、アルバムのほとんどにいたってこの調子で続く。 そこにはスピーディなギターソロもハイトーンヴォーカルも存在せず、ただ底を撫でるような泥臭くロー・ミドルなテンポと音色、祈祷的な呪文が場を支配する。 闇にじっと潜み、喰らいつく隙を窺ういつ襲い掛かるか定かではない正体不明の『何か』と対峙した時に感じる、じりじりとした小気味の悪い緊張感、興奮のあまりにじわりと滲む脂汗。 そこでは即物的で、刹那的なストレスではなく、一触即発の長く、いつ終わるか知れない途方もない遠い地獄がある。 それが最後のトラックを終えた後やっと途切れるのだが、我々は果たしてこの先の見えない旅路から開放されたのだろうか。なんとも感触の悪い後味を残すアルバムだった。 Children of the Kornにはアイスキューブも参加。どんよりしたムードにさらなるタイトな抑揚を与えている。 Best track:Got the life、Freak on a Leash [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=VAWjsVoDpm0[/youtube]
(2004) のべつまくなしに鋭利に耳をつんざくこのアルバムはスウェーデンのハイスピードキラーマシンIMPIOUSが 無辜のリスナー達に嗾けた4枚目。 最初から始まり最後の鐘の音に終わるまで、加減なしに全てを切り裂くブラックな破壊力に満ちており、 逃げ惑うものも、立ち竦んでいる者も誰もいとわず、飢えた獣が襲い掛かる。 メロディもメロデスというほどではないが、過剰にメロディアス過ぎずブルータルさを殺さないほどよい按配で打ちこめられている。 ほぼ3分台のスラッシーな曲がほとんどであり、ラストトラックのみ9分の台詞つきのナンバーがある。 Best tracks: wicked saint [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=6xbTgZQRNDY&feature=kp[/youtube]
Deserted Soul 非常に琴線に刺さったので紹介。 2008年結成、Bombworks Records所属のノルウェー出身のプログレッシブ・デスメタルバンド。 ジャンルにprogressive/atmospheric deathmetal-bandとあり、ザクザクとしたはっきりしたリフと空気感がたっぷりと堪能できるデスメタルになっています。 このバンドの所属しているレコード会社は他にも面白いバンドがたくさんいるのでお勧めです。 official myspace
(2009) 元Static-X(このアルバム出した頃は現役)の日本人ギタリスト、コーイチ・フクダ氏が参加したバンド。 メンバーはDaniel Brecher(ダニエル・ブレッチャー) Aviv Cohen(アヴィブ・コーヘン) Ryan Collier(ライアン・コリラー) Koichi Fukuda(コーイチ・フクダ)の四人でロサンゼルスで結成した。 Ambipulsive Rockと言う造語?のジャンルを名乗っている模様。 地を舐めり、底をなぞる様な重低音がきいたスタンダードでグルーヴィな純米国産オルタナティブヘヴィロック。 全体的に過剰なまでと言えるほどのスピードのある曲は多くはないが、(Bulletは結構早い)曲目の大半がキャッチーで美しいメロディセンスに富み、時に優しくささやくような父性あふれるボーカルが耳障り良い。 ほとんどの曲がバラード的な感じで、ニッケルバックやフーファイターズが好きな人ならお勧めでき、ヘヴィミュージック初心者でもすんなりと全部聴けてしまうのでは。 ヘヴィミュージック入門推薦盤。 Best track:Hangman、You Got The Ball オフィシャルから1stアルバム「What’s Born in the Basement」全曲ダウンロード可能。 https://www.drugstorefanatics.com/