industrial rock

  • Nine Inch Nails-With teeth

    (2005) 六年のブランクを空けての作品。 NINがキャリアにおいて寡作なのは並行して多くのミュージシャンとの仕事を引き受けたり、スランプということもあり、同時にさらにたくさん色々なことをやりたいという指向性の現れなのであろう。 ただそこまでの期間を開けても、21世紀現代の音楽制作の今となっては、デメリットでも日常的に不思議なことでもなく、さしたる問題にもなりえなくなっているし、全体のクォリティと楽曲の良さの面では申し分ないアルバムとなっている。 この頃から心地よく無理のない自然体で身動ぎがしそうな、シンプルで耳に残るカッチリとしたドラムやビートの曲群が顕著に顕れ始める。この後のYear Zero、Slipも同様の傾向が見られ、強すぎない高揚感とバランスの良いポップな趣きがある。 仄暗さはそのままずっと変わりなく、激しさが減退した分、聴き疲れが少なく、以前より落ち着いたという見方もできるが、The Hand That Feedsなどのトラックからも挑戦的に煽るような怒りや歌詞など、野心を捨てたような感じは受け取れない。 元々アンビエントに興味を示していたことからも耳を落ち着ける清涼的な曲もあり、派手なアルバムではなくとも、キャッチーさやメロディの美しさ等も多くのリスナーにとって十分で、やや暗いと言うことを除けばだが、普段聞きしても軽快にノれるアルバムではないだろうか。 逆に言えば音楽に極端な色濃さを求めるタイプには中途半端、ビートをそこまで求めないリスナーにはやや固めな印象になるとも思えるかもしれないが… またアートワークの良さも相変わらず美しく、個人的にはNINの中で随一を誇るお気に入りである。 Best track:The Hand That Feeds、Only、Right Where It Belongs、Every Day Is Exactly The Same

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  • Nine Inch Nails – The Downward Spiral

    (1994) 米国インダストリアルロックバンドの2ndアルバム。 時間が経つごとにどんどん激しくなる心臓の早鐘か銃撃のようなメタルパーカッションで始まりを告げる このアルバムはNINのインダストリアルロックバンドとしての米国での評価を位置付け、 トレント・レズナーを現在のオルタナティブロックを語るに外せない人物としてオーバーグラウンドへ引き上げた重要な作品となった。 硬いリズムとデジタル音はあるが、重さは他の作品に比べるとそれほどでもなく、NINの中ではPretty hate machineに次ぐ入りやすさがある。 とは言っても、BROKENというインダストリアルメタルのEPを通過した影響は残っており、シンプルな音で構成される激しいドラムが軽快なMarch Of The Pigs、攻撃的な叩きつけるようなノイズを繰り返されるI Do Not Want This、アグレッションが備わったナンバーも揃えられており、物足りなさは感じない。 さらに最後の締めのHurtは有終の美を飾るにふさわしいメランコリックなバラードで、トレントの懺悔と慟哭に満ちた味わい深い余韻を残す。 日本盤のボーナストラックはJOY DIVISIONの名曲Dead soulが収録されており、ゴシック的な暗さはやや弱めだが、現代的なオルタナティブロックとしての新鮮さが感じられ、こちらもオリジナルに負けないくらいのできに仕上がっている。NIN入門者にお勧め。 Best track:March Of The Pigs、Hurt [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=PL72Tyxe1rc[/youtube]

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  • Nine Inch Nails – FRAGILE

    〔1999〕 米インダストリアルメタル・ロックバンドの3枚目のフルアルバム。五年のブランクを空けての二枚組み。 Left、Rightに分けられた総時間2時間ぶんの映画並みのこの大作はかなりのボリュームがあり、 前作より不穏で重たく、アート感が増したが、メタルよりの曲は前作のEPよりは減少しており、根底に流れる音は繊細で美しくポップなので、不思議と聞き疲れはしない。 NINの中心人物トレント・レズナーはこのアルバム製作で壁にぶつかり、ひどい時間を食わされたらしく、 スランプ地獄を味わった故の苦しみ呻きが満遍なく書き連ねられており、苦労が垣間見える。 沈みこむような遅いリズムのメタルパーカッションや機械的な音響の「静」と激しいノイズの洪水の「動」の緩急のバランスが整っており、視界が開けたようなすっきりした明快さは与えてはくれないが、 不満を爆発させたシューゲイジングの爆発力はリスナーにカタルシスに導くであろう。 なおトレントはプロデューサーのリック・ルービンにそれまで毛嫌いしていたビートルズのホワイトアルバムを勧められ、状況を打開するためのひらめきと示唆を受けたとも供述している。 怒りと切望、孤独にまみれた渾身の一枚。 Best track:La Mer、We’re In This Together、Starfuckers, Inc. [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=yzTk-djuH_A[/youtube]

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  • Kidneythieves

    米国発フリー・ドミンゲス(Vo)とブルース・サマーズ(gu/pro)によるインダストリアルロックバンド。 1998年に結成。女NINといわれるのもうなずける冷たい音作り。ただNINのようなバラエティや美しさに富んだポップ性や苦しみ、狂気に満ちた難解志向は若干弱めであり、 概ね全体的にヘヴィロック寄りで、その分クセがなくすこしシンプルで入りやすい。 このバンドの印象的なPVはフリー嬢がセクシーなZerospaceだと思われるが、ちょっとバンドの魅力が分かりづらくピンときにくいと思われるため、クイーンオブバンパイアの曲にも採用されたメロディアスなこちらを紹介する。 2004年のTrickstereprocessを出した後は一時ブルースはShockNinaやグッドシャーロットの裏方仕事に、フリーはインディーで活動の場を移した。 何かと日本と縁があるバンドのようでX JapanのYOSHIKIのレーベル、エクスタシレコードと契約したり、 ディシディア デュオデシム ファイナルファンタジーの曲を演奏・リミックス(作曲は石元丈晴)やメタルギア ライジング リベンジェンスの曲のボーカルも取っている。 オフィシャルサイトも日本語Blogがあったり、オーディオリーフに登録していたりとマーケットとして日本も視野を入れているのかもしれません。 他にも彼らはチャッキーの花嫁に曲を提供したり、フリーはソロといくつかのバンド、KFMDMなどにボーカルとしての参加やDeus Ex: Invisible Warのキャラクターの声優を勤めた。

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