(2003) GIZA STUDIO所属、Ganet crowの2002~2003年のマテリアルが結晶化された3枚目の作品。 ソフトでイージーな序曲、「今日の君と明日を待つ」から始まり続く二曲目、澄み切った水面をたゆたう 木の葉を想起させるリードトラック「君という光」が速やかに耳から体の内に浸透する。 その後の平穏を破る、ハイなアップビートで小気味の良い抜けたような開放感が待つ「スパイラル」が さんざめく反面、不思議なそわそわに似た耳元にささやかれるようなくすぐったさと、清潔な瑞々しさを流す「クリスタル・ゲージ」が体中のもやもやを全部洗い流す。 ドリーミーな「Marionette Fantasia」、後半は一転してデジタルでスリリングな雲行きのイントロ、ややハードな「Endless Desire」、「逃れの町」、ネガティブな題材の歌詞「Only Stay」で締め、 繊細なポップ感は相変わらずだが、ノスタルジックな感傷は前二作より控えめの印象を感じる。全十曲でコンパクトだが、物足りなさは感じない。 Best track:クリスタル・ゲージ [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=XLJ1fzIbuX8[/youtube]
(2004) 寡作ながら何篇かのささやかな物語を我々に贈り届け続けてくれる新居昭乃の2004年のアルバム。 清涼感ある快く落ち着いたビートで導きを告げるこの作品は元々彼女に宿る音楽性、 センスオブワンダーとでもなぞらえられるすぐ近い未来を臨む「これからなにがあるんだろう?」という胸が躍る期待感や、不思議を追い求める幼くみずみずしい探求心、さらに退廃感と背筋がわななくひそやかな恐怖をともなう訓示を与える童話的な空気に満ちている。 全編にわたりスロウリーなテンポだが、低カロリーで健康的でボリュームをあまり感じさせることなく聴き疲れすることもないだろう。 個人的には日本におけるロリータウィスパーボイスの第一人者でパイオニアだと思うのだけれど、認知度は一層低くこの才能がアニメに一番マッチするとはいえ(本人の作家性もあるが)、活躍できる他の場が日本にそう多くないというのが惜しい。 と思ったら、ここ数年は台湾、フランスなど国内外でライブで活躍中らしくそんな心配は無用のようだ。ネット様様ですね。 過去の公式HPの日記でRadioheadのトム・ヨークが好きだと発言していたようで(彼女のほうがずっと先輩ですが)さもありなん。 Best track:虹色の惑星、夜気、パンジー [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=PFf3krlGzAA[/youtube]