https://asq.me/ask/behemoth-japan/1133 大分掲載が遅れた上、手前味噌感はありますが、asQmeと言うミュージシャン含む著名人に質問できるという質問サイトで、ブラッケンデスメタルバンドのBehemothのリーダー&ヴォーカルのネルガル(Adam “Nergal” Darski)に質問できる機会に恵まれ、運よく採用されたので内容を紹介します。 和訳が見たい場合、上記の動画に直接飛んだ後、動画の右下の設定で字幕→日本語にできます。 他の質問でよくされる類の質問には「またか」と言われるものが一部ある中、直接の誉め言葉こそありませんが、僕が質問したものは「今まで考えたことなかったな そういうオファーは受けたことないからね」との評をいただいています。 つまり、彼の真意はどうあれ、採用された中でそこそこ気を留めるトピックの質問だった、ということにファンとして勝手に好意的に受け取っておきます。 彼のようなブラックメタルの中でも著名にアンチクライストをテーマに掲げているバンドで、場所によってはライヴを拒否されることもままあるバンドですが、 いくつかの「クリスチャンの考えについて哲学的なテーマで切り取っている」クリスチャンバンドやミュージシャンに興味を示しており、自分たちのアンチクライスト的な活動に外部の諍いや誤解はあることを加えつつも、「変かもしれないけどこれが俺さ」と締めくくっています。 ブラックメタルは一般的にはアンチクライストのイメージが強めですが、元来のキリスト教に懐疑的なバンドが多く存在しつつも、Emperorのイーサーンなどは「物理的な破壊は必要ない。もしかしたら、事件に巻き込まれるところだった。」とのコメントや、他のメンバーの行動にも関与することもなかったようで、あくまで自身の創作表現を置いていて、そのスタンスはまた複雑のようだ。 90年代半ば以降、一部の人間がショッキングな事件でブラックメタルのアンチクライストな側面を決定的にしたが、そもそもが源流の80年代ブラックメタル、特にVenomのクロノスがショック効果のためにアンチクライストを提示したパンク精神のバンドだったことも例にあるし、現在の様相もどうなっているかというと、ブラックメタルをやっている≒アンチクライストのバンドとはすでに言いにくくなっている。 若いバンドは特に背信的な側面を打ち出してないバンドも少なくないようだ。 実際、当時も他のアンチクライスト、サタニストのブラックメタルミュージシャンも異義を唱えながらも、その考えの度合いや色合いが様々で、そしてブラックメタルの中でもメジャーとは言い難いが、90年代同時期にDark throneへのアンサーアルバムとして、HordeのHellig Usvart(1994)がアンブラックメタルとして遠き南太平洋から提示されたことも考えれば、ブラックメタルをやっていても全員が一枚岩で考えを共にしている訳ではなく、排他的で暗澹は共通していも、内部で小さなコンフリクトや、アンチクライストに限らず、ペイガニズム、ナチズムなど様々な哲学を提示しており、現在はその色が薄くなったわけではないが、すでに様々な考え方があふれ、そのブラックメタルという典型的イメージ自体は分散しつつあるということであろう。
(2006) このアルバムに一貫して身体の深奥を揺さぶるのは感傷で充満した衝動とアグレッシヴな怨憎に有り余る慟哭である。 鋭利な匕首で乱暴にえぐるような刃傷による叫びと、雑に落っことしていったペシミスティックな過去への憐憫達が後を追うようにして、マグマのごとく噴出する。 胸に詰まるような怒りとも泣きとも見分けがつかぬ、あるいはそのすべてが入り混ざった感情が零れるようにボロボロと荒ぶるソリッドなリフが流れ出し、Reroute to Remainから大々的にモダンな変化をした経過から今作で完成形として到達した、第二部オルタナティブメタル期の、彼らのディスコグラフィーでも最も大胆で野心に満ちた作品である。 全編にわたり穿たれる突き刺さるような豪雨のようなリフの中でも力強い鼓動を魅せる「Take This Life」、「Dead End」のLisa Miskovskyによる美しき歌唱とIn Flamesのエッジィなリフのコラボレーションもまた嘆きのメロディと悲劇的で冷酷無比なコントラストを彩っている。 強靭な音の嵐の間に配置されたバラードの「Come Clarity」は、アルバムに共通した鎮痛な重々しさはあれど、むせ返るような攻撃力はない。あふれ切りそうな棄民感と悲愴をカップいっぱいに湛えていて今にも呻きが染み出しそうな重要な曲だ。 このアルバムでIn Flamesはオルタナティヴメタルへの進化を決定的に位置付けたといえ、新生In Flamesとして新しい趣にいささか不得手を示す古参な保守派もそのでき映えに驚愕したのではないだろうか。 ザクザクとしたスラッシュメタルを好む御仁にも刺さり、全盛期のメンバーが揃った時期のメロディックデスメタルとオルタナティブメタルを体験する皮切りになるドラスティックな一枚。 また、ジャケットも自身は当バンドのアートワークの中ではクールでシンプルで一番お気に入りである。 Best track:Take This Life、Dead End、Come Clarity
(2004) 剃刀のようなエッジィなデスラッシュを繰り出すスウェーデンのデスメタルバンド。 グルーヴィに乗ったアタック、ドライブ感をもたらす高圧力のサウンドはピーター・ドルヴィンの復帰作に相応しく、一般的なデスメタルより、楽曲のバラエティが豊かなマテリアルとなっている。 前作でヴォーカルを勤めたマルコは典型的なブルータルなデスボイスであるが、反面ピーターはシンプルな叫び声に近く、熱を帯びた哀愁あるバラードやのびやかな歌を聞かせたりする表現が多彩なヴォーカリストである。 ギラついたドス黒さは減ったが、突き抜けるような明快さや、ストレートに耳に訴えるパワーは研ぎ澄まされたと言える。 バーナーで焼き切ったような焦げ付いたエフェクトと中東っぽいフレーズもじんわりとした手に汗を握る焦燥感と高揚感を抱く。 余談ではあるが、Sweet reliefの歌詞に「ばかげた趣味の日本女子みたいに」とあるのは、どう意味なのか気になる。 Best track:All against all、99 [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=KX1LBADDICk[/youtube]
(1999) スウェーデンのメロディックデスメタルバンド。 それまで表現していた90年代正統派メロデスメタルサウンドを色濃く継承、結実した作品。 現在では多少古色蒼然でクラシカルな匂いがするが、アグレッシブでいかめしくヒロイックなデスメタルが全編に渡って聴ける。 それぞれのトラックは粗野で粗暴な香りが匂い立つエピックな暗黒世界を顕現していて、現在のモダンなIn Flamesの違いと比べると驚くだろう。 かといって、少数の人しか選ばない突き放すような乱暴な作風ではなく、琴線をくすぐるメロディアスなギターソロ、リフがあり、多くのリスナーの興味を惹き、飽きさせない工夫がそこかしらにちりばめられている。 アンダースのパワフルな歌唱と、重くせつなげなギターだけではなく、間にPallar Anders Visaのようなアコースティック一本のインストゥメンタルを緩衝材として挟むなど、シンプルなギターだけでも十分な訴えかけるメロディセンスがあり、この手のトラックは彼らのお手の物である。 Best track:Behind Space 99、Embody in the invisible、Man Made God [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=90InmStlHos[/youtube]
(2004) のべつまくなしに鋭利に耳をつんざくこのアルバムはスウェーデンのハイスピードキラーマシンIMPIOUSが 無辜のリスナー達に嗾けた4枚目。 最初から始まり最後の鐘の音に終わるまで、加減なしに全てを切り裂くブラックな破壊力に満ちており、 逃げ惑うものも、立ち竦んでいる者も誰もいとわず、飢えた獣が襲い掛かる。 メロディもメロデスというほどではないが、過剰にメロディアス過ぎずブルータルさを殺さないほどよい按配で打ちこめられている。 ほぼ3分台のスラッシーな曲がほとんどであり、ラストトラックのみ9分の台詞つきのナンバーがある。 Best tracks: wicked saint [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=6xbTgZQRNDY&feature=kp[/youtube]
Deserted Soul 非常に琴線に刺さったので紹介。 2008年結成、Bombworks Records所属のノルウェー出身のプログレッシブ・デスメタルバンド。 ジャンルにprogressive/atmospheric deathmetal-bandとあり、ザクザクとしたはっきりしたリフと空気感がたっぷりと堪能できるデスメタルになっています。 このバンドの所属しているレコード会社は他にも面白いバンドがたくさんいるのでお勧めです。 official myspace