(2005) 六年のブランクを空けての作品。 NINがキャリアにおいて寡作なのは並行して多くのミュージシャンとの仕事を引き受けたり、スランプということもあり、同時にさらにたくさん色々なことをやりたいという指向性の現れなのであろう。 ただそこまでの期間を開けても、21世紀現代の音楽制作の今となっては、デメリットでも日常的に不思議なことでもなく、さしたる問題にもなりえなくなっているし、全体のクォリティと楽曲の良さの面では申し分ないアルバムとなっている。 この頃から心地よく無理のない自然体で身動ぎがしそうな、シンプルで耳に残るカッチリとしたドラムやビートの曲群が顕著に顕れ始める。この後のYear Zero、Slipも同様の傾向が見られ、強すぎない高揚感とバランスの良いポップな趣きがある。 仄暗さはそのままずっと変わりなく、激しさが減退した分、聴き疲れが少なく、以前より落ち着いたという見方もできるが、The Hand That Feedsなどのトラックからも挑戦的に煽るような怒りや歌詞など、野心を捨てたような感じは受け取れない。 元々アンビエントに興味を示していたことからも耳を落ち着ける清涼的な曲もあり、派手なアルバムではなくとも、キャッチーさやメロディの美しさ等も多くのリスナーにとって十分で、やや暗いと言うことを除けばだが、普段聞きしても軽快にノれるアルバムではないだろうか。 逆に言えば音楽に極端な色濃さを求めるタイプには中途半端、ビートをそこまで求めないリスナーにはやや固めな印象になるとも思えるかもしれないが… またアートワークの良さも相変わらず美しく、個人的にはNINの中で随一を誇るお気に入りである。 Best track:The Hand That Feeds、Only、Right Where It Belongs、Every Day Is Exactly The Same
(2004) おそらく彼らの名を世に知らしめた2000年代の日本のロックを語るは欠かせないASIAN KUNG-FU GENERATIONの2ndアルバムであり、マスターピース。 あの名曲リライトから、君の街まで、ループ & ループなどが収録されており、全12曲すべてが耳馴染む。 曲間に間断があまりなく、小気味良い勢いでスムーズよく乗っていくような軽快なノリで進行していく。 導入こそ早い曲で始まり一番性急でアップビートなリライトをくわえても、そこに強引な印象は見られずその後はテンポは一様にゆったりしたナンバーが多い。 リライトが彼らの曲の中で特殊なだけで際立って見えるが、本分はきっとスローリー、ミドルテンポな曲目なのだろう。 歌詞においてはコミュニケーション、中継、継続、繋がること、「続ける」ことの困難さが語られる。 Best tracks:リライト、ループ&ループ [youtube]https://www.youtube.com/watch?v=Aq6gMHBobcA&feature=kp[/youtube]