(2004)
寡作ながら何篇かのささやかな物語を我々に贈り届け続けてくれる新居昭乃の2004年のアルバム。
清涼感ある快く落ち着いたビートで導きを告げるこの作品は元々彼女に宿る音楽性、
センスオブワンダーとでもなぞらえられるすぐ近い未来を臨む「これからなにがあるんだろう?」という胸が躍る期待感や、不思議を追い求める幼くみずみずしい探求心、さらに退廃感と背筋がわななくひそやかな恐怖をともなう訓示を与える童話的な空気に満ちている。
全編にわたりスロウリーなテンポだが、低カロリーで健康的でボリュームをあまり感じさせることなく聴き疲れすることもないだろう。
個人的には日本におけるロリータウィスパーボイスの第一人者でパイオニアだと思うのだけれど、認知度は一層低くこの才能がアニメに一番マッチするとはいえ(本人の作家性もあるが)、活躍できる他の場が日本にそう多くないというのが惜しい。
と思ったら、ここ数年は台湾、フランスなど国内外でライブで活躍中らしくそんな心配は無用のようだ。ネット様様ですね。
過去の公式HPの日記でRadioheadのトム・ヨークが好きだと発言していたようで(彼女のほうがずっと先輩ですが)さもありなん。
Best track:虹色の惑星、夜気、パンジー
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=PFf3krlGzAA[/youtube]