RIE FU-RIE FU

(2004)

RIE FUの一枚目のアルバム。
ややいなたい感じの郷愁に想いを馳せられるこの作品は誤解を恐れずに言えば、カーペンターズを思い起こさせるヴィンテージ感と、肌理細やかで暖かみのある音群で構成されている。
まるで雨露のついた収穫したての葡萄を味わっている気分を錯覚し、芳醇な薫りがありありと鼻腔に漂うようだ。
節々に一つ一つ些細だが、えてして主張しない上質な雑音達がちりばめられており、大事に手入れされた歴史ある調度品が取り揃えられた部屋に、吹き込んだ一陣の風のようにメロウな快感を齎してくれる。
Decayの歌詞には人生を急く焦りを感じるが、旅に出る子を送り出し見守るようなポジティブで柔らかな曲調のおかげで不思議と無理に堰きたてられるかのようなストレスは感じない。
本当に豊かな気持ちになるとはこういうことなのだろう。背筋が気持ちよく美しく伸びる一枚。
Best tracks:decay、笑って恵みのもとへ、Life is like a boat
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=j29GbD8ACtE&feature=kp[/youtube]

HYDE-666

(2003)

HYDEのソロアルバム二作目。前作とは異なり90年代のヘヴィロック、ポストグランジ、メロディックパンクなどを通過した音作りがされており、hydeのハードロック志向を反映させた形となっている。
Larc-en-cielでもhydeが作曲したのは元々ハードロックなものが見られたので、そういう意味で言えばラルクの中では80年代のメタルにもっとも意識を根ざしているのが彼なのだろう。
軽く湿った色めきたつグラマラスな歌唱とカラッとさせた乾いたノイジーなギターが同居しており、メロディックで明快なトーンのHello、刺激的でハイなナンバーのMidnight celebration、陰と陽、両面取り揃えられてあり、視聴者を飽きさせない。
もっともhydeは曲を多く作るのは不手としており、このアルバム製作に当たって10曲作るのも苦労したということで、これ以降編曲にとどまっていたKAZが次作では作曲面で携わっており、後に共にVAMPSを結成している。
KAZの作曲する曲もバラエティに富んだユニークな曲が多く、今後ともに期待できるパートナーである。
Best track:Hello、Midnight celebration
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=MlsfE6MZCp8[/youtube]

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