(2001)
aikoの三枚目のアルバム。
彼女を彼女たらしめているのはそののびやかな明るさと純真、素直さというパーソナリティであろう。
容貌よりも内から発するとびっきりの天真爛漫さを外に注げば何者にも負けない無敵のかわいいさを生み出せることを彼女は世界に示してみせた。
その魅力を熟れ余し、芳しいまでの芳香を放つような、やや微熱を帯びた気だるげで甘い歌い方は
今恋をしている10代の少女達だけではなく、かつて恋を経験した大人達も引き寄せる引力を持っている。
こういったバラードを発表した当時だけ作用するのではなく、加齢を重ねればこそ様になってくるように創造したのは彼女最大の発明であり、時間をかけてずっと味わっていける賞味期間の永いアンセムだ。
島田昌典の程よい加減のやり過ぎないジャジーなアレンジもまた温度に拍車をかける。
初夏から秋の始まりにかけて、また着込むまでの衣替えがやってくるその時期まで、風邪にうなされたようなぼーっとした気分にまた罹ってみたい、そんな記憶を紡ぐためにこの「夏服」を卸してみましょう。
Best tracks:ロージー、紙飛行機、密かなさよならの仕方、初恋、終わらない日々
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