〔1999〕
米インダストリアルメタル・ロックバンドの3枚目のフルアルバム。五年のブランクを空けての二枚組み。
Left、Rightに分けられた総時間2時間ぶんの映画並みのこの大作はかなりのボリュームがあり、
前作より不穏で重たく、アート感が増したが、メタルよりの曲は前作のEPよりは減少しており、根底に流れる音は繊細で美しくポップなので、不思議と聞き疲れはしない。
NINの中心人物トレント・レズナーはこのアルバム製作で壁にぶつかり、ひどい時間を食わされたらしく、
スランプ地獄を味わった故の苦しみ呻きが満遍なく書き連ねられており、苦労が垣間見える。
沈みこむような遅いリズムのメタルパーカッションや機械的な音響の「静」と激しいノイズの洪水の「動」の緩急のバランスが整っており、視界が開けたようなすっきりした明快さは与えてはくれないが、
不満を爆発させたシューゲイジングの爆発力はリスナーにカタルシスに導くであろう。
なおトレントはプロデューサーのリック・ルービンにそれまで毛嫌いしていたビートルズのホワイトアルバムを勧められ、状況を打開するためのひらめきと示唆を受けたとも供述している。
怒りと切望、孤独にまみれた渾身の一枚。
Best track:La Mer、We’re In This Together、Starfuckers, Inc.
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=yzTk-djuH_A[/youtube]
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